コンタクトのマル秘テクニック!

私たち日本人は意外に眼と脳と身体のコーディネーションを高める基本トレーニングをほとんどやっていません。
生後1歳、2歳ころの子どもが少しずつ歩きはじめ、言葉を覚える様子を私たちは興味深く注目してその成長を見守ります。やがて、音楽やスポーツをする機会を与えたり、計算を教えます。
けれど、眼の使い方や、眼と行動が密接に結びついていることに細やかに注目したり、眼の使い方を教える機会はほとんどありません。「門前の小僧、習わぬ経を読む」ということわざがあります。
私たちの眼の使い方はこのやり方です。自然に身につけた眼の使い方で私たちは一生を送っているのです。
それでいいじゃないか、という考え方もありますが、門前の小僧をより優秀な高僧に育てるには、なんらかの教育や修行が必要でしょう。眼も、もっと効果的に高め開発する機会があれば、日常生活がもっと楽になり、潜在能力を発揮することもできるはずです。
テレビのバラエティショーなどでギャグにも使われる「赤上げて、白上げて、赤下げないで白下げない…」といった遊びは、笑いを誘う余興のひとつ程度の扱いしかされていません。が、これは聴覚から得た情報を脳が判断し、行動に結びつける効果的なトレーニングです。

実はこうしたトレーニングで脳と行動の連動を刺激することが、私たち人間の基本的能力を高めるうえでとても大切です。国語や算数といった勉強だけが重視されて戦後の日本は時を重ねてきました。
ほんとうは、こうした「5感と脳と行動のコーディネーション」を意識したトレーニングや、教と脳と行動のコーディネーションを高めるトレーニングも、ほんとうはもっと意識して採用すべき、人間の基礎学習のひとつです。ビジョントレーニングの方法の一つに、瞬間視があります。
パソコンの画面に、ごく短い時間だけ6ケタから8ケタ程度の数字を出し、記憶しようとすれば見逃してしまいます。その瞬間に何気なくほかのことに意識が行ったりすれば、やはり見えたはずの数字があいまいになって思い出せません。
単純なようで、なかなか難しいものです。この瞬間視は、0.1秒のあいだに数字を見て、おぼろげな記憶を頼りに答えるのではありません。
瞬間的に見た数字をまず脳に焼きつけ、あとでその残像を読むような手順で答えるのです。視覚能力が高い人が必ずしも学力が高いというわけではありませんが、瞬間視の能力は、比較的、学力と相関関係があるようです。
数字を右から読む瞬間視で、数字を右から読むトレーニングも行います。ふだん左から読んでいる数字を右から読むのは、瞬間視でなくてもとまどうものです。
これが0.1秒となれば、いっそう混乱します。手元に左打者6人を調べた「右から読む瞬間視」の結果があります。

左打者の場合、投手のボールは右から来ますから、この能力が右打者以上に大切です。I選手は解答率83パーセント、6人の平均解答率は60パーセントでした。
これを見ても、いかにI選手が左打者として図抜けた視覚能力を持っているかがわかります。ものをはっきり見るためには、眼でいちばん感度のいい「網膜の中心点」で見るのが理想的です。
I選手はそれができているから、瞬間視の能力が高いのだと推測されます。文章も右から書いて読む数字を右から読む練習は、スポーツ選手でなくても効果があります。
身体は、動きがどちらかに偏るとだいたいバランスを崩します。眼も、いつも左から右へだけ動かしていれば偏ってしまいます。
ときには右から左に読む習慣をつけてバランスを保ちましょう。少し繰り返せば、数字を右から読むのは案外すぐに慣れてきます。
ビジョントレーニングを積極的に練習に採り入れているチームのひとつ、N潟明訓高校野球部では、数字ではなく、文字を右から左に読む練習もしています。昨年のチームは左打者が多く、左投手の変化球を苦手にする傾向がありました。
これを克服しないと夏の予選を勝ち抜けません。なぜ左打者は左投手の変化球を打てないのか?ふだんの生活で、左から右へ文字を読む習慣しかないことに原因があるのではないか?そう考えたS監督は、右から左に書かれた文章をワープロで作成し、選手たちに読ませて新しい習慣を眼につけさせました。
そのかいあってか、夏の予選では、大会屈指といわれる左投手を見事に打ち砕きました。ワープロで右から文章を打ち込むのは大変な作業なので、練習用に、例文を右上に掲載しておきます。
これでいかに右から左に眼を動かして文を読むことに慣れていないか。そして、やれば徐々に慣れていくかを体験してみてください。
眼は、「脳に直結している」「脳の一部が外にむきだしている器官だ」とも言われます。眼から送られた情報は網膜を通して脳に伝えられ、脳がこれを処理して身体に反応を指示します。
視覚と行動は一体の流れの中にあり、ものを見ることが独立しているわけではありません。ビジョントレーニングで「眼の動きを向上させる」と言うと、「ああ、動体視力のことでしょう!」と、すっかり全部わかっているような顔で答える人がほとんどですが、すでに書いたとおり、動体視力も視覚能力の一要素でしかありません。

大切なのは、動いているものを見る能力と、それに対応して肉体を効率的に動かすコーディネーションです。競技別に選手たちの動体視力を比較したI大学教授によれば、「動体視力がもっともいいのは卓球選手。
」けれど、眼から得た情報を手に伝えて作業する『眼と手の協応能力』となると、「卓球選手の成績はそれほどでもなく、女子バレーボール選手がもっともすぐれていた」とのことです。これは、動体視力が実際の行動において一要素でしかないこと、スポーツや行動に反映するには、他の要素を開発し連動させなければいけないことを物語っています。
光のついたボタンを眼で追い、指で押すトレーニングマシーン「シンガン」。点滅のスピードが0.6秒より速くなると、論理的な思考では対応できなくなり、反射的に対応しないと間に合わない。
眼と手を反射的に連動させるトレーニングになる。1分間に170〜180回押せたら優秀なレベル。
なかには、300回以上押せる選手もいる。眼と手の協応能力は、シンガンと呼ばれる用具で測定したりトレーニングできます。

点灯するランプを素早く叩き一定時間内にどれだけ反応できるかという反射反応を測定したり、決められた数字だけに反応する(例えば偶数が出たときだけタッチするといった具合に)判断リズムが0.8秒以上の間隔だと、人は考えて反応できます。その間隔が0.6秒以下だと、ほとんどの人が考える余裕はもうなく反射的に反応しないと間に合いません。
その感覚を養うことが大切です。

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